1.幼稚園を受験するメリット
幼稚園を受験するメリットには、以下のようなものがあります。まず、「小学校受験の予行練習になる」ことです。小学校受験を検討している場合は、「幼稚園は入園できればどこでも良い」と考える人もいるかもしれません。しかし、幼稚園というより早い段階で子どもに受験を経験させることで、予行練習を行えます。指示に従ったり質問を聞いてそれに答えたりするなど、幼稚園受験を通じて多くのことを学べます。それ以外にも、あいさつをするという基本的なことを身に付けられるでしょう。それに、子どもだけではなく親も予行練習になります。面接で緊張しないように慣れておきたい、また面接スキルをアップさせたいという人にもメリットとなるでしょう。
さらに、エスカレーター式で「内部進学できる」ことがメリットです。有名な付属幼稚園は、小学校・中学校、高校・大学というようにエスカレーター式の進学制度を設けているケースが多くあります。この場合、幼稚園受験という形で入学しておけば、そのまま高校や大学などに内部進学できるため子どもの将来的な負担を大幅に軽減できます。基本的には将来の進学を約束されたようなものなので、将来受験をするときの苦労や負担を考えると、大きな魅力といえるでしょう。
2.幼稚園を受験するデメリット
幼稚園受験にはたくさんのメリットがある一方、デメリットもあります。主なデメリットには、以下のようなものが挙げられます。まずは「環境の変化が少ない」ことです。付属幼稚園で内部進学をする場合、大きな環境の変化は望めないことが多いでしょう。そのため、入学した幼稚園の雰囲気や周りの環境になじめなかった場合、ストレスを感じてしまうおそれがあります。仮に幼稚園から大学までエスカレーター式で進学する場合は、顔なじみが多く交友関係がなかなか広がらない可能性も否めません。幼稚園受験はそのときだけではなく、将来の環境の変化まで考えたうえで検討することが重要です。
それ以外にも、「地元の友達ができなかったり少なくなったりする」ケースがあります。自宅から離れた場所にある幼稚園に通う場合、地元の人との接点がどうしても少なくなりがちです。すると、子どもも親も地元との接点が持てず、身近に頼れる友人ができなかったり、減ったりするリスクがあるのです。地元でママ友を作りたい、子どもにも地元の友達をたくさん作ってほしいという場合は、注意が必要になるでしょう。
3.幼稚園受験の具体的な内容とは?
幼稚園によっても受験内容は異なりますが、基本的には「書類選考」「考査(実技)」「面接」などが実施されます。考査のみもしくは面接のみを行う幼稚園もあれば、考査と面接の両方を実施する幼稚園もあるなど、スタイルはさまざまです。特に、考査と面接は合否を決める重要なポイントだとされています。どのようなことに気を付ければ良いのか、幼稚園受験の具体的な内容について見ていきましょう。
3-1.考査の内容
考査とは、幼稚園の先生達が子どもを遊ばせるなかで様子をチェックするものを指します。考査は主に「当たり前のことが身に付いているかをチェックする」ために行われます。実施内容や求められることはその幼稚園によってさまざまです。倍率が高かったり名前が知られていたりする幼稚園では、「当たり前にできること」のレベルがそもそも高く設けられているケースもあるため注意が必要です。考査の内容としては、以下のようなものが挙げられます。
考査で行われる項目には「知能」というものがあります。知能ではパズルを使ったり、積み木の模倣をさせたりするなどの内容が含まれます。主に、物の形や数をきちんと認識できているかチェックされることが一般的です。また、人の話をきちんと覚えているか、簡単な語彙力や記憶力について確認するケースもあります。
「運動」も考査で取り入れられることが多い項目です。運動教室のようにレッスンしたり、マットを使って運動したりすることがあります。また、先生の見本通りに踊れるかどうか、ダンスの模倣テストを行うケースも多い傾向です。それ以外にも、動物の真似を行う場合もあります。これらの内容から、子どもに基本的な運動能力が備わっているかどうかをチェックされます。
幼稚園受験で重視されることも多いのが「行動観察」です。行動観察では子どもを自由に遊ばせて、基本的な生活習慣をチェックするケースが一般的です。具体的には、「ほかの子どもたちと問題なく遊べるかどうか」を確認されることが多いでしょう。ほかの子どもたちと自由に遊ばせて、集団生活のなかでもトラブルを起こさずに過ごせるか、またどのような行動をとるのかなどが審査されます。場合によっては、幼稚園の先生のような大人とも一緒に遊べるかチェックすることもあります。協調性について審査される場ともいえるでしょう。
「絵画」では子どもに自由に絵を描かせて、どのようなものを完成させるかという点が審査されます。これにより、幼稚園側は子どもの発想力や想像力などをチェックするのです。また、想像して絵を描くことを楽しめているかどうかもチェックされます。
「生活習慣」では子どもが年相応の生活習慣が見に付いているかどうかが見られます。普段親がどのような接し方や育て方をしているのか、問われる審査といえるでしょう。具体的には、「遊んだあとおもちゃの片付けができるか」「服をたためるか」などの要素がチェックされます。幼稚園受験では「基本的なしつけができているか」が重視されます。日頃からルールやマナーを教え、丁寧で行儀の良い行動ができるようしつけておくことが重要です。
「親子遊び」は親子で一緒に遊ぶ様子を審査されることが一般的です。幼稚園受験は子どもだけではなく、親も審査の対象となります。たとえば、子どもと一緒に過ごすときに適切な褒め方ができているか、また励ませるかなどがチェックされます。そのほかにも、必要以上に世話を焼いていないかどうかも審査されることが多い項目です。子どもと一緒にいると、どうしても「こうしたらいい」「親がやったほうがいい」と手を出してしまうケースも少なくありません。しかし、世話を焼きすぎるとどうしても子どもの主体性が育まれにくくなってしまいます。試験ではこうした子どもに対する親の接し方を観察し、家庭での過ごし方を推測されます。普段から子どもが主体となるような遊び方と接し方を心がけると良いでしょう。
3-2.面接の内容
面接の内容はその幼稚園によっても大きく異なります。親のみ・子どものみ・親子での面接など、形態はさまざまです。面接は主に「幼稚園と家庭の教育方針の親和性」「子どもの特性や発達具合」などを確認する目的で行われます。面接では具体的にどのようなことを聞かれるのか、内容を詳しく見ていきましょう。
幼稚園によっては、親が面接を受けるケースもあります。親の面接で聞かれやすいことには、以下のような項目が挙げられます。まずは「家庭の教育方針やしつけ」についてです。褒め方やしかり方など、子育てで気を付けている点について聞かれます。また、どのような人に育ってほしいかなど、将来を見据えた教育方針について問われることがあるでしょう。さらに、「子どもの長所や短所」もよく聞かれる要素です。子どもの長所や短所、基本的な性格についての理解度が問われます。子どもが興味のあることや好きなものについて聞かれるケースもあります。
そのほかにも、親自身のことについて質問される傾向です。趣味や仕事について説明できるようにしておきましょう。さらに、その幼稚園に対する希望や志望動機なども質問されやすい要素です。きちんと自身の言葉で志望動機や希望について答えられるように考えを整理しておきましょう。
子どもの面接では、基本的なしつけについて確認されることが一般的です。たとえば、「初めまして」「さようなら」というような基本的なあいさつができるかどうか、チェックされることが多いでしょう。また、名前や年齢をきちんと言えるかどうか、確かめる傾向にあります。
それ以外にも、「好きな遊び」「幼稚園でやってみたいこと」などの質問をされるケースもあるでしょう。公園ではどのような遊びを好んでいるのかなど、簡単な会話のなかで人見知りの有無について確認されます。ほかの子どもや大人などの第三者との交流が少ないと、このような質問に戸惑ってしまうものです。日頃からさまざまな人と会話する機会を設けておくと、面接時にもスムーズにやり取りができるでしょう。また、幼稚園に通うことを楽しみにしているか、子ども自身の気持ちについて質問されることがあります。
幼稚園受験では、親子一緒に面接を受けるケースも多くみられます。親子面接では、前述した「親の面接」「子どもの面接」の質問をまとめてされるケースが一般的です。さらに、質問が統合して出されるだけではなく、「親と一緒にいるときの子どもの様子」についてチェックされます。たとえば、親が面接の質問を受けているときに、子どもがどのような態度をとるか見られることがあります。このとき、子どもはきちんと座っていられるか、集中力や落ち着きについて確認されるのです。こうした親子面接を乗り切るためには、前もって家族で面接練習を行うことがおすすめです。家族で練習に臨むことで団結力が生まれ、子どもも楽しみながら受験に挑めます。
4.幼稚園受験までに行うべき準備とは?
幼稚園受験を成功させるためには、しっかりとした下準備が不可欠です。親がすべき準備と子どもがすべき準備について、それぞれポイントを見ていきましょう。
4-1.親の準備
幼稚園受験に備えて、親がしておくべき準備には以下のようなものが挙げられます。まずは「情報収集」です。前もって、受験する幼稚園の情報を集めておくことが大切です。ホームページやチラシ、口コミなどで情報をよくチェックしましょう。また、公開行事や説明会が行われる場合は、積極的に参加することがおすすめです。幼稚園に足を運ぶことで実際の雰囲気を確認できるでしょう。
さらに、「過去の質問例」などを調べておくことも重要です。過去の面接ではどのような質問をされているのか、あらかじめ調べて対策を練っておきましょう。志望動機や教育方針などをきちんと話し合い、考えをまとめておくことが大切です。質問傾向を調べて、家族でシミュレーションすることも有効な対策です。面接の場で慌てないように、前もってきちんと練習しましょう。
それに加えて、「幼稚園の理念についての理解を深めておく」ことも欠かせません。幼稚園はそれぞれ異なる理念を持っています。たとえば、のびのびと自由に育てたいという考えもあれば、語学や芸術などの勉強に力を注ぐという考えもあります。幼稚園の理念に共感し、その考えに協力できる家庭であるかどうかは重要視されやすい要素なのです。通いたい幼稚園が決まったら教育方針や特色をよく調べ、理解を深めておくことが求められます。そして、その姿勢を面接で説明できる状態にしておきましょう。
また、「幼稚園に希望すること」を明確にしておくこともポイントです。大切な我が子を預けることになるからこそ、幼稚園にどのようなものを求めているのか、はっきりとさせておく必要があります。子どもにどう育ってほしいのか、そのために幼稚園にどのような協力を求めるのか、考えを整理しておきましょう。
4-2.子どもの準備
子どもがしておくべき面接準備には、以下のようなものがあります。まずは「トイレトレーニング」です。紙おむつに慣れており、なかなかおむつを卒業できないという子どもも少なくありません。ただ、幼稚園受験を考えると、やはり一人でトイレに行けるようにしておくことがおすすめです。ズボン・スカート・パンツの上げ下げの仕方、手の洗い方などをきちんと教えておきましょう。
次に、「基礎的なマナーを身に付ける」ことも重要になります。基本的なあいさつや片付けができるようにしておきましょう。また、靴をそろえる、時間を守るといったマナーを身に付けておくことも大切です。このような当たり前のマナーをしっかりと習得しておくことが、幼稚園受験を成功させるための近道となります。
続けて、「母子分離に慣らす」ことが求められます。面接室に子どもが一人で入れる状態にしておきましょう。なお、母子分離は親子の信頼関係をきちんと築いておくことがポイントとなります。日頃から「必ず時間になったら迎えにくる」という意識を子どもに持たせることが大切です。これにより、子どもは安心して親のそばを離れられるようになります。母子分離は慣れるまでにそれなりの時間がかかることも多いため、受験までに少しずつ慣らしていくと良いでしょう。
それ以外にも、「指示や質問を聞いて行動できる」ようにしておくことがおすすめです。受験では指示通りに動けるか、またきちんと言葉でコミュニケーションがとれるかという点がよく見られます。こうした要素をクリアできるように、日頃からきちんと人の話を聞いて答えられるよう、教育しておく必要があるのです。これには、簡単なお手伝いをさせる方法が有効です。「棚からお菓子を取ってきてほしい」「テーブルにスプーンとフォークをセットしてほしい」など、簡単なお願いをすると良いでしょう。こうした取り組みにより、日々の暮らしのなかで指示を聞いて理解し、自然に行動に移せる子どもに成長していきます。
それに加えて、「友達と仲良く遊べる」ようにしつけを行うことが肝要です。受験では自由遊びや行動観察が多く取り入れられています。このようなシーンで、しつけが行き届いていないと友達とケンカをしたり、おもちゃを取り合ったりするおそれがあります。協調性を高めるためにも、友達とは仲良くするように日頃からきちんとしつけておきましょう。
5.幼児教室のカリキュラムでしっかり準備するのもおすすめ!
幼稚園受験を成功させるためには、親も子もそれぞれしっかりと準備を行うことが重要になります。もしも、親子だけで幼稚園受験の準備をするのが不安という場合は、プロのノウハウが詰まった専門カリキュラムを受けることがおすすめです。20年以上の歴史を持つ「チャイルド・アイズ」の幼稚園受験コースは、脳に刺激を与えて思考力と人間力を育てられます。興味のある人は、無料体験に申し込んでみてはいかがでしょうか。